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住宅クライシス タワマン管理契約と修繕工事の深い関係

ダイナミックな眺望や充実した共用施設などが人気のタワーマンション。容積率や日影規制を緩和した平成9年の建築基準法改正によって都市部を中心に開発が加速し、棟数は全国で1300を超えた。新築ラッシュが今も続く一方で、築年数が経過し、管理組合と管理会社との関係性に亀裂が生じたマンションも少なくない。管理会社では近年、売り上げ拡大よりも利益を重視した経営にシフトしており、新築時から続いた管理委託契約を打ち切る事態も起きている。

【グラフでみる】ある大手の管理契約状況

■4年前の6・6倍に

「スタッフが疲弊し、信頼関係を基にした業務の遂行が困難な状況になった」

西日本の部屋数200戸超、30階超のタワーマンションでは新築から十数年が過ぎた5月下旬、管理会社から8月末での管理委託契約の終了が通告された。

管理会社は、現地の開発を実施した大手デベロッパーの関連会社。こうした契約更新〝拒否〟の申し出は近年相次ぐ。

マンション業界の調査やコンサル業務などを行うNPO法人「マンション管理支援協議会」(東京)によると、ある大手管理会社において、今年3月末までの1年間で契約打ち切りとなった件数は、戸数ベースで3万7千戸を超え、4年前の6・6倍に伸びた。

背景には、管理人や清掃員の人件費などが高騰しても、管理委託費の値上げを組合側に受け入れさせることが簡単ではなく、管理委託業務だけでは十分な利益を得ることが困難という事情がある。

■修繕工事に思惑

管理会社のもう一つの収益の柱は、組合側から受注する修繕工事。同NPOによると平成28年度、ある財閥系大手管理会社では総売上高約442億円のうち約69%が修繕工事の売り上げで占められ、工事依存の傾向は現在も続く。

実際、このマンションでも昨年以降、老朽化した設備の補修などを目的に大規模修繕工事が計画され、管理会社側は2・3億円余りの予算を提示していた。

ところが、組合側では理事会が中心となって独自に元請け業者を公募。管理会社とは別の業者が約1・8億円で受注する見通しとなった。前後して今年春、理事会に反発した住民による役員の解任騒動が勃発。結果的に役員の残留が決まったが、まもなくして管理委託の終了が通告された。

契約打ち切りと工事との関連について、取材に対し管理会社側は「長期修繕計画書を作成して工事予算を提示しただけで、見積もり取得など工事の受発注業務には一切関与していない」と説明。ただ、戸数が多いタワーマンションの工事では動く金額も大きい。

ある業界関係者は「工事を受注できないのなら、無理をしてまで契約を続ける必要がないと、管理会社が判断することは一般的にはある」との見方を示す。

■カスハラで「選別」も

国土交通省が公開する管理委託契約の指針「標準管理委託契約書」には、管理会社と組合側の一方が3カ月前までに解約を申し入れれば契約を終了することが可能、との条文が設けられている。

多くの個別契約にも採用される条文だが、大阪でコンサル業務を行うマンション管理士の男性は「契約の終了を通告された管理組合が他社を探す時間が足りない」として改正を訴える。

ある管理会社の幹部は、「こうした『3カ月前』ルールを背景に契約終了をちらつかせ、管理組合側に厳しい条件を受け入れさせることもある」とした上で、次のように説明する。

「最近では、管理会社の担当者が住民側に無理難題を突きつけられる『カスタマーハラスメント』が増えた。夜中にクレーム処理に追われたり、怒鳴りつけられたりして、心身をすり減らすこともある。業界は担当者不足に陥っており、こうした理不尽な行為が契約先の『選別』につながっていることも知ってもらいたい」

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