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住宅ローンで不動産投資をして「自己破産」…そんなケースが後を絶たない理由

秋山裕樹さん(仮名・33歳)は、不動産コンサルタントBに住宅ローンで投資用のマンションを購入することを勧められた。自己資金はゼロでOK、サブリース会社と呼ばれる企業が35年一括で借り上げをしてくれるので家賃滞納の可能性はない、ローンの支払いが終わった後は家賃収入を老後資産に充てられる――そんな「うまい話」に乗って、2800万円の住宅ローンを組み、不動産投資に踏み切った。

 しかし、じつは住宅ローンで不動産投資をすることは「ルール違反」。借り入れを行なっていた金融機関から「ローンを一括返済せよ」と迫られ、結局、自己破産を選ぶほかなくなってしまった。同じような問題は多数起きている。いったいなぜダマされる人が後を絶たないのか。

住宅ローンで投資をしてはいけない
 こうした不正が起きてしまうこと、またダマされる人が後を絶たない大きな理由の一つは、

 「住宅ローンを組んで不動産投資をしてはいけない」

 ということの重要性がしっかりと認識されていないという点にある。

 不動産投資は本来、「不動産投資ローン」という形式のローンを利用して行うものだ。

 一般的に不動産投資ローンよりも低金利なのが住宅ローンだ。当然ながら、低金利でローンを借りられるほうが、投資利回りは上がる。そして住宅ローンはフルローン(物件の全額分のローン)で組めるというのも今回の問題がおきたポイントだ。

 では、「住宅ローンで不動産投資をしてはいけない理由はなにか?」

 まず、大原則として、住宅ローンは、「本人または家族が住むための家」に対して融資されるものである。そのため、原則1人1期間までで複数組むことはできない。

 家を何軒も持っているような富裕層は別だが、基本的には家は1家族に1軒で、夢のマイホーム、人生で一番大きな買い物と言われている。

 住宅ローンを貸し出す金融機関は、返済できるであろう属性の人に融資し、生涯にわたり住む住宅購入に対する融資ということで、滞納の可能性が低く、

 (1)貸し倒れリスクが少ない
(2)不動産に担保を付けるので返済が出来なくても回収ができる
(3)団体信用生命保険に入ることがほとんどのため、何かあっても保険で回収できる

 というメリットがある。

 そのため、低金利で貸し出しをしても回収不能になるというリスクが低いという点から、通常の融資に比べて、金利が低く設定されているのである。

 さらに国の制度自体も住宅ローンを組みやすくしている。それが、住宅金融支援機構の「フラット35」だ。

 民間の金融機関が取次店となり、手続きを行い、融資債権を独立行政法人住宅金融支援機構(国土交通省と財務省が所管)に買い取ってもらうという形式を取っているもので、長期間固定金利での貸し出しが可能となり、人気の住宅ローンである。

 住宅ローンで不動産投資をしてはいけない理由は、住宅ローンを借りる際に金融機関と取り交わす「金銭消費貸借契約書」に定められている。

 金銭消費貸借契約書とは、お金を借りる契約だ。その契約書に書かれている内容の以下の点が重要となる。

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(1)ローン契約の目的
自らかその家族が居住するための家の購入資金での使途に限定する。借り入れ後に変更する(住宅ローンの融資対象物件を賃貸物件とする場合等)場合は、あらかじめ銀行の承諾を得るものとし、銀行が承諾した場合には銀行の指定する他のローンへの切り替え等の銀行の銀行所定の手続きが必要となる場合には当該手続きを直ちに行う。

(2)期限の利益の喪失
借主について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、借主は本債務全額について当然に期限の利益を失い、借入要項記載の返済方法によらず、直ちに本債務全額を返済するものとする。
1.約束の期日までに返済をしなかった
2.破産手続きをした
3.契約違反をした
4.契約時に虚偽の申告をした等
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 「期限の利益」とは、借り主が、最初に約束した返済日までにお金を返済すればいいという権利だ。

 特に(2)の「期限の利益の喪失」事項は、ローンを滞納したり、破産手続きをしたり、ローンが払えなくなった場合はもちろんだが、(1)の契約の目的に違反した場合や、住所変更等を怠った場合、申込内容に虚偽があった場合も含まれる。

 つまり、住宅ローンを組んだ物件を「投資物件」として賃貸に出すことは、住宅ローンの金銭消費貸借契約に違反している。本当は不動産投資用のローンによって短い期限で返済をすべきところを、低金利の住宅ローンを使って分割で何十年という期限で返済をしているのは契約の目的が違う。

 だから、金融機関からしてみれば、契約違反をするのならば、何十年の分割払いで返済すればいい「期限」という利益を借り主から奪わざるを得ない。だから金融機関は「一括で返済しろ!」と迫る。そして「期限の利益の喪失」がされると団体信用生命保険も失効する。

問題が深刻化したワケ
 借り主(秋山さんのような立場の人)にとって問題なのが、「一括返済」を求められた時にオーバーローン状態になるケースだ。

 通常の不動産投資へ融資は、「物件の担保評価」を審査して、貸し出せる金額や融資期間が決まるが、住宅ローンの場合は、「債務者本人の属性(年収、勤務先等)」を重視して審査をする。

 言い換えれば、「物件の担保評価」<「債務者本人の属性」で融資がされてしまうのだが、この点に、秋山さんのケースの問題が深刻化した理由があると筆者は思う。

 つまり、物件の実勢価格と売買価格の乖離を調査せず、物件の価値が大幅に住宅ローンより低くても、債務者本人の属性が返済比率をクリアしていれば頭金なしのフルローンでも融資がされてしまう。

 そのため、今回のような事業者グループが実際の不動産価値よりも売買代金を高く水増しした場合、簡単にオーバーローン状態の融資が完成してしまうのだ。

 そうなると、債務者本人(秋山さんのような人)はもちろん、債権者(金融機関)は貸し倒れリスクが大きくなり、債務者、債権者どちらも大きな損失となる。

 利益を取るのは、「事業者グループ」だけ。債務を負うのは、債務者自身である。

 許しがたい事実だが、債務者本人も「知らなかった」では済まされない状況でもある。悪意があれば、詐欺罪や文書偽造で金融機関から訴えられる可能性もゼロでない。

 そうなってしまったらどう問題解決するか? 
 まずは正確に状況を把握することだ。そして、解決方法は何かあるか、選択肢を探る。

 事業者グループを責めても、金融機関に対する返済は待ってはくれない。事業者グループへの損害賠償を求めるにも弁護士等の専門家への相談が必要だ。どのような解決方法があるかは、さまざまであり、一括請求が来てからだと、もう解決方法は限られてしまう。

 問題になる前にできる事を検討し、少しでも良い解決方法を模索するべきだ。




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