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高級タワマン住民から「住み替え相談」が次々と…「週末の地震」の後に不動産会社で起きたこと


タワマン住人からの電話





写真:現代ビジネス
 久々の大きな揺れだった。

 2月13日の夜11時、宮城県と福島県で震度6強の地震が発生した。東京都内でも震度4を観測、十数秒にわたって揺れが続き、久々の本格的な揺れに肝を冷やした人も多かっただろう。

 ところで、この地震の直後、東京の不動産市場をめぐって、ある「異変」が起きていたことをご存知だろうか。

 東京都内の物件を取り扱う不動産仲介会社の社員が語る。

 「地震があったのは土曜日でしたが、その翌日の日曜日、湾岸などのタワーマンションに住む複数の入居者の方から問い合わせがあったんです。

 普段は日曜日の朝から問い合わせが続くということはあまりないのですが、この日は朝っぱらから何件か電話が続いたので驚きました。

 みなさんとても不安そうな様子だったのも印象的で。

 いずれのお客様も考えていることはだいたい同じようで、『戸建てに住み替えたい』とのことでした」

 この社員によると、地震をきっかけに、タワマンから戸建てへの住み替えを検討する人が目立つようになったというのである。

とにかく停電が心配

それにしても、タワマン住人はなぜここへきて戸建てへの住み替えを検討し始めたのだろうか。

 「お問い合わせをされてきたみなさんが何よりも懸念しているのは停電のようでした」(前出の不動産会社社員)

 今回の地震で、関東圏でも、埼玉県など広い範囲で停電が発生した。たしかにタワマンで停電が起きると、その住人は様々な困難を抱えることになる。

 たとえば昨年11月、江東区・東雲のタワマンで停電が発生したが、このときは、エレベーターが動かなくなる、機械式駐車場が機能しなくなり車を使えなくなる、オール電化の住戸では水すら使えなくなるといった悲劇が起きた。

 さらに振り返ると、2019年10月には台風19号の影響で武蔵小杉の2棟のタワマンで被害が生じた。

 このうち47階建ての1棟では、地下に設置された電気室が冠水し、建物への電力供給が途絶えてしまった。

 エレベーターは停止し、給水ポンプが使えなくなったため断水状態に。さらには、汚水を排水するポンプが停止したために、各住戸のトイレまで使用できなくなるという被害にまで発展した。

 この2~3年で災害時のタワマンの脆弱さが目立ってきたわけだが、そうした情報を得てジワジワと不安を感じていたタワマン住人たちが、今回の地震をきっかけに問い合わせを始めたという状況のようだ。

まだあるタワマンの「弱点」





〔PHOTO〕iStock
 さらに、近年ではタワマンの修繕の難しさが徐々に明らかになりつつあることも、地震後の問い合わせに影響を与えているかもしれない、と前出の社員は言う。

 「タワマンは建築されてから15年ほどで外壁の補修をする必要が出てきますが、クレーンで工事をする必要があり、通常型のマンションに比べて、莫大な時間的、金銭的なコストがかかります。

 もう少し長期スパンで見るとエレベーターの取り換え工事などが必要となりますが、これもやはりコストが大きい。

 『結局、長く住めないのではないか』『戸建てよりもお金がかかるのではないか』という思いを抱く人が増えていることは肌で感じます」

 2000年代の「都心回帰」のトレンドに乗って急増してきたタワマンだが、建築から10年、20年という時間が経つなかで、その「弱点」があらわになってきたということだろうか。

 2012年末から始まった金融緩和と、そこから生じた「超低金利」によって、これまでタワマンの価格は保たれてきた。しかし、緩和を主導してきた安倍政権が倒れ、同政権によって任命された黒田東彦・日本銀行総裁も2023年に任期を終える見込みだ。

 菅義偉政権は、前政権ほど金融緩和に積極的でないように見える。

 そこに、上記で見たような、災害やコスト高からくる「タワマン離れ」が重なると、いったい何が起きるのか――。

 もしかすると、いま「タワマンという文化」は、曲がり角を迎えているのかもしれない。



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