• お電話
  • お問い合わせ
  • 営業時間:10:00〜19:00(水曜・第1・3火曜定休)

  1. 大江戸不動産トップページ
  2. 住んでいるタワマンが「まさかの維持費値上がり」で1000万円も下落…60代男性を襲った悲劇

ニュース&トピックス

住んでいるタワマンが「まさかの維持費値上がり」で1000万円も下落…60代男性を襲った悲劇

「維持費」という大問題





〔PHOTO〕iStock
 中古マンションを探していると、やたらと相場より安い物件に目を引かれることがあるだろう。しかし、物件概要を見てみると「維持費が高い」というカラクリがあり、結局は手が出なかったという経験は一度や二度ではないはずだ。そう、維持費が高くなると物件価格を相場より下げざるを得なくなるのだ。

関東某県、吉田さん(60代男性・仮名)が住む築20年ほどのファミリータイプのタワーマンションもまさにこうした条件が当てはまる物件だ。

 「うちは高級とは言えないまでも、駅近で、複数の共用施設があるタワマンです。子供の独立を機にコンパクトなマンションに住み変えようと、査定に出したところ、相場より格段に安い3500万円でした。周辺の同じ広さのマンションは4500万円程度で取引されており、1000万円も安いのです。不動産業者に理由を聞くと、うちの物件は月々の管理費と修繕費の合計が3万5000円ほどで、この高額な維持費がネックになっているとのことでした。

 サラリーマンが買えるくらいの物件で、の維持費が月3万円を超えると、心理的にも途端に買い手の検討対象から外れてしまい、物件価格を相場より大幅に引き下げないと売れなくなるのだそうです」(吉田さん)

 吉田さんのタワマンはなぜ、ここまで維持費が高額なのか。

 「実は何年か前に、2回目の大規模修繕のときにお金が足りなくなるとかで修繕費が一気に1万円ほど値上がりしてしまったのです。当時は『売りにくくなって資産性が下がる』と反対する住人もいたのですが、管理会社も良かれと提案してくれているのに、クレーマーみたいに反対するのはみっともないなんて思っていました。ですが、今にして思えばその住人の言う通りでした」(同)



管理会社がカギ
 確かにタワマンは維持費がかかるとされるが、それでも相場より高い場合は、適正な管理がされていない可能性もある。マンションの資産価値を左右するのは良くも悪くも区分所有者で構成される「管理組合」であり、特に管理業務を担う「管理会社」との接し方で大きく変わる。

 住宅ジャーナリストの榊淳司氏が解説する。

 「問題なのはやはり管理会社との関係です。大半の管理組合は管理会社をパートナーのように性善説で見ていますが、あくまで営利企業であることを忘れてはいけません。吉田さんのケースでは管理費の値上げは困難なので、理解を得やすい修繕費の値上げをして、次の大規模修繕事業で回収しようとしているかもしれません。

 管理会社の売り上げは住民が支払う管理費と修繕費が原資であり、利益相反の関係があるのです。提案される工事も実際には不要な場合もあるので精査が必要です。共用施設や人件費高騰などで費用が高額になると説明されますが、それを口実に管理会社が利益をあげようとするから高額なのかもしれません。

 管理費や修繕費、各種見積もりの価格が本当に適正で妥当かどうかは、アバウトな説明を聞いて納得してしまうのではなく、中身を精査し、値段の妥当性を検証しないと判断できません。そういう意味で他人の資産を預かる管理組合の理事会や理事長の責任は極めて重大です。改善や改革に消極的なのは一般の多くの区分所有者の機会損失にもなるのです」

 そもそも管理会社とはどのような収益構造なのか。これを知ることで、適正な管理費の使い方とあるべき方向性が見えてくるはずだ。「別所マンション管理事務所」代表の別所毅謙氏が解説する。

 「大前提として、マンション管理は理事会支援や会計などの事務仕事以外のほとんどの実務的業務は管理会社を経由して外注された協力会社が担います。管理費の内訳で説明すると、まず、清掃や設備点検など、管理会社に業務委託している項目の費用はそれぞれの外注経費にプラスして管理会社の中間マージンが含まれています。

 さらに、植栽費やその他点検業務や損害保険など、管理組合が直接、協力会社と契約している項目も、大抵の場合は、紹介手数料という形で、協力会社から管理会社に実質的なバックマージンが発生しています。これらは協力会社と管理会社の取引ですが、当然、管理組合が支払う外注費には管理会社への紹介料分が転嫁されています。特に保険はマージンの額が大きく、しかも保険を使う機会が多いと更新時の保険料にも跳ね返ってくるため、注意が必要です」

中間マージンの調べ方
 中間マージンで分かりやすいのが管理員業務費だ。試しにその管理会社の管理員の求人の賃金と、管理会社から提示されている管理員業務費を比べてみればいい。社保などの会社負担のコストだけでは正当化できないほどの差がある場合が多い。管理会社ビジネスの実態は手数料ビジネスといっていいだろう。

 営利企業としては当たり前の商習慣とはいえ、管理組合から見れば必要な経費がブラックボックスで分かりにくい構造なのは損失を招きやすい。例えば20万円の塗装工事に、プラス10万円が管理会社の事務手数料だと明示されていれば、手数料の減額を求めたり、管理組合による直発注の検討もできるが、元が「30万円の塗装工事」と信じてしまえば、経費節約の機会が失われてしまいかねない。











トピックス一覧に戻る