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新築マンション契約率にブレーキ!4カ月連続の70%割れは、値下げの予兆なのか?不動産市況をアナリストが分析

新築・中古マンションの市場動向を見ながら、首都圏のマンション市況を紹介したい。現時点で最新となる2022年9月度のデータでは、新築マンション供給戸数は、前年同月比11.9減少となる2,036戸。契約率は、61.6%となり、好不調の目安となる70%を4カ月連続で下回った。一方、急激な円安がマンションの建設費を押し上げ、今後のマンション価格にも影響を与えそうだ。(不動産アナリスト:岡本郁雄)



大きく進む円安が、マンションの建設費を押し上げる
 2022年3月以降、円安トレンドが止まらない。年初に1ドル115円台だったドル円レートは、2022年10月20日には、1ドル150円を突破。1990年8月以来となる、実に32年ぶりの円安水準となった。

 円安となる理由として挙げられるのは、日米の金利差。アメリカでは、急激なインフレを抑えるため政策金利を引き上げており長短金利を抑えている日本と比べ金利差が拡大している。また、資源価格の上昇による貿易収支の赤字も円が弱くなる一因になっている。

 為替相場の急激な変動を抑えるため日本銀行は、為替介入を行っているが、現時点では歯止めがかかっているとは言い難い。円安傾向が収まるには、日米金利差の縮小や資源価格の下落などが必要だが、世界的なインフレ傾向やロシアのウクライナ侵攻の情勢を見ると当面は円安水準が続くと考えるべきだろう。

 円安は、マンションの建築費を大きく押し上げている。建築資材や設備機器の価格上昇に加え、人手不足による人件費のアップも建築費が高くなる要因となっている。建築業界では、人手不足から外国人労働者を活用する動きもあるが、円安によって実質的な賃金が目減りすれば、労働需給はさらに圧迫される。建築費の上昇が来年以降さらに強まる可能性もあり注意が必要だ。

 また、2022年1月から8月の首都圏新築マンション着工戸数は、前年同期比で-6.6%(国交省「建築着工統計調査報告」令和4年8月分)。東京都では-20.9%と大きく減少している。環境にやさしいZEH-M(ゼッチマンション)の導入拡大も建築費を押し上げる要因だ。市場価格は、需給で決まるものだが、建築費の上昇でマンションの事業性が悪化し供給戸数が減れば、価格がもう一段上がるかもしれない。

 続いて、2022年9月度の首都圏新築マンション市場を見てみよう。

2022年9月の首都圏新築マンションの供給戸数は、対前年同月比11.9%減少の2,036戸。対前年同月より275戸減少した(参考:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2022年9月度」)。

 新築マンションの1戸当たりの平均価格は6,653万円、前年同月(6,584万円)比で1.0%の上昇。㎡当たりの単価は101.2万円、前年同月(98.9万円)比で2.3%のアップとなった。

 契約率は61.6%で、前年同月(67.8%)比では6.1ポイントのダウン、前月(62.0%)比では0.4ポイント下落した。販売在庫は、4,797戸で前月よりも35戸の増加。契約率は高くはないが、販売在庫は、低水準が続いている。

 また、新築マンションの地域別の新規発売戸数は下表のようになっている。

首都圏新築マンション新規発売戸数および契約率(2022年9月度)

都区部……832戸(前年同月比-14.7%) 68.9%
都下………185戸(前年同月比-29.1%) 61.1%
神奈川県…548戸(前年同月比+11.2%) 61.1%
埼玉県……266戸(前年同月比-4.0%) 39.8%
千葉県……205戸(前年同月比-32.8%) 62.4%

 2022年度上半期(2022年4月~2022年9月・不動産経済研究所発表)を見ると、首都圏新築マンション供給戸数は、前年同期比4.2%減少の1万2,271戸。都区部は、5,186戸と前年同期比で11.8%減少した。

 契約率は、67.7%と前年同期比で2.9ポイントマイナスとなったが、在庫戸数が前年同期比14.6%減っているように、売れ行きは悪くない。建築費の上昇を踏まえて、利益を確保しつつ着実に販売を進めていく売り手の意向の表れだろう。

 次に中古マンション市場を見てみたい。



 2022年9月度の首都圏中古マンションの成約件数は、2,990件となっており、前年同月(3,176件)比で5.9%減少した(参考:東日本不動産流通機構発表「2022年9月度の中古マンション月例速報」)。

 首都圏中古マンションの平均成約価格は、前年同月比で11.0%上昇の4,421万円。平均成約㎡単価は、69.10万円で前年同月比+11.2%となっている。成約㎡単価が前年同月を上回るのは、29カ月連続だ。

 また、新規登録件数は、前年同月比で伸びており、在庫も増加傾向が続いている。供給超過に加え、在庫物件の平均㎡単価が上昇していることも在庫増加の一因と思われる。

 また、地域別では、以下の通りとなっている。

首都圏の中古マンション成約㎡単価

都区部……………99.97万円(前年同月比+7.7%)
都下(多摩)……51.38万円(前年同月比+13.9%)
神奈川県
横浜・川崎市……60.83万円(前年同月比+8.8%)
神奈川県その他…42.16万円(前年同月比+13.0%)
埼玉県……………44.20万円(前年同月比+17.5%)
千葉県……………37.76万円(前年同月比+10.2%)

 地域別の成約㎡単価は、今月も高い伸びを示した。都区部および都下(多摩)は、前月より若干下がったものの、3県は過去最高値を更新した。中古マンション価格の上昇トレンドは、続いていると見てよいだろう。
「ザ・ライオンズ池袋」は、東京メトロ丸ノ内線・有楽町線・副都心線「池袋」駅徒歩7分、JR山手線「池袋」駅徒歩10分と、全8路線が利用できる「池袋」駅の徒歩圏内に立地する地上7階建て総戸数83戸(一般分譲対象戸数67戸予定)の中層レジデンスだ。

 建設地は、低層建物中心の街並みが広がる豊島区の地区計画エリア内で、歩道・車道、道路植栽や無電柱化などの整備がされた「みたけ通り」沿いに位置する。「みたけ通り」沿いは、「建築物の用途制限」や「形態や意匠の制限」などが設けられており、快適な住環境が保たれる。繁華性の高い池袋エリアと思えない落ち着いた住環境で、街路が広く整備されており歩きやすい。

 池袋駅には、「池袋パルコ」や「東武百貨店池袋店」「西武池袋本店」などの商業施設が豊富だ。8つの劇場を備える新複合商業施設である「ハレザ(Hareza)池袋」や大型商業ビル「グランドスケープ池袋」など、新たな施設が次々にオープン。映画や演劇鑑賞など多彩なレジャーが楽しめる。

 また、池袋駅周辺部は、2015年に特定都市再生緊急整備地域に指定されており、公園、文化芸術・地域のにぎわい・情報発信拠点として開発が進む。今後も池袋西口地区や東池袋一丁目地区など再開発プロジェクトがめじろ押しで、南池袋二丁目C地区など、タワーマンションの分譲も複数計画されている。池袋は、首都圏の中でも街の進化スピードが速い地域といえるだろう。

 事業主である大京がフラッグシップ物件となる「ザ・ライオンズ」というブランド名を冠して分譲するのは、11年ぶり。それだけ、立地に対するポテンシャルを評価しているのだろう。

 外観ファサードは、「池袋西口の芸術・文化の継承」をコンセプトに、柱の表面を三角形状にしたほか、ガラスのバルコニーとブラックのサッシにより、洗練されたシャープなデザインとなっている。

 共用部も豪華なつくりだ。1階エントランスホールは二層吹き抜けとし、約5.2メートルの高さの天井からは、しずく形のペンダントライトを設置。吹き抜け空間の奥には、水面をモチーフとしたアートパネルや、力強い岩のオブジェアートを設置している。また内廊下設計を採用し、各階には空調を完備している。入居者のセキュリティーとプライバシーにも配慮したホテルライクなつくりだ。

 間取りは、1LDKから3LDK(43.40㎡~72.37㎡)の全14タイプ。全タイプサッシ高は、約2.2メートル(天井高約2.5メートル)と、開放的だ。クローゼットスペースを活用した機能的でコンパクトなワークスペース「ワークフィットボックス」を設置した住戸を設けるなどテレワークに対応した提案も見られる。

 サッシ高が約2.2mのリビングダイニングは、開放的で居心地も良好。引き戸を活用したフレキシブルなつくりも暮らしやすさを感じる。収納量も十分あり、共働きカップルが暮らしやすそうだ。ホームページ公開から2カ月余りで500件を超える資料請求があるが、希少立地だけに、今後さらに注目を集めそうだ。

 都心の分譲マンション用地と競合するのは、ホテルや商業ビルだけではない。筆者は、2022年秋に、総戸数189戸の単身向け大規模賃貸「パークアクシス門前仲町テラス」(三井不動産レジデンシャル)とコワーキングスペースを併設する総戸数81戸の賃貸マンション「The Parkhabio SOHO 代々木公園」(三菱地所レジデンス)を見学した。どちらも分譲マンションとして販売されたとしても十分市場性のある立地だ。

「パークアクシス門前仲町テラス」は、東京メトロ東西線「門前仲町」駅徒歩10分。大手町や日本橋に行きやすく住環境も良好な場所。個室ブース12室など約200㎡もの共用空間やリフレッシュできるテラスが用意されている。

 一方「The Parkhabio SOHO 代々木公園」は、小田急線「参宮橋」駅徒歩4分、東京メトロ千代田線「代々木公園」駅徒歩11分に立地。24時間無料で利用できるコワーキングスペースや代々木公園の緑が望める屋上テラスがある。

 分譲ではなく、賃貸として企画されたということは、収益性を考えた場合に賃貸の事業性がより高かったということだろう。賃貸需要が見込める場所でのマンション建設は、今後さらに難しくなるかもしれない。



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