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マンション購入で意外なほど多くの人が見逃している落とし穴

全国に数百万戸あるといわれている分譲マンション。一戸建に比べて眺望が良い、ご近所付き合いの煩雑さが少ない、建物の維持管理に手間がかからないなど、いろいろなメリットを享受できることから、今でも続々とマンションが新築され、都市部では1棟で数百戸を超える巨大なタワーマンションも建ち続けています。

しかし、その購入に至るまでに、購入者も、ときには不動産会社の営業マンすらも軽視しがちな重要なポイント――「落とし穴」とも言えることがあります。今回は、その落とし穴がどんなもので、それによってどんな弊害が起こりうるのかをご紹介していきたいと思います。

本題に入る前に、ニュースやインターネット掲示板等では、「戸建vsマンション」といった構図で、先に挙げたようなメリットのほか、隣人との騒音トラブルになりやすい、大規模修繕や建替えで揉めやすいなど、マンションのデメリットについてもよく取り上げられ、議論が白熱する対象となっています。こういった情報に触れると、「結局、戸建がいいのか、マンションがいいのか、決めかねてしまう」という方も少なくないと思います。

ちなみに、この記事では、一戸建とマンションについての優劣や、マンションのメリット・デメリットについての言及はしません。一戸建もマンションも、それぞれの一長一短を単純に比較することは難しく、人の好みやライフスタイルによって適した不動産は異なるため、一概にこれらを論評することは相応しくないと考えるためです。

しかし、不動産を購入するときには、こういった点を洗い出し、検討に検討を重ねて購入を決めるわけです。しかし、特にマンション購入の場合、その重大な判断をする際に、意外なほど多くのケースで見逃されている重要なポイントがあるのです。これによって、ともすると購入後に何年も経ってから、大きな損失や後悔を生んでしまう可能性があります。

重要なポイントとは
マンション購入の場合に見逃されがちな重要なポイント、それは「修繕計画」です。

不動産を購入する際、マンションの場合は「管理費」や「修繕積立金」といった名目で、毎月いくらの費用負担があり、将来どのような修繕を行っていくかをまとめた「長期修繕計画」を確認することが一般的です。よほど不誠実な不動産営業マンに対応されない限り、これらは契約前の早期検討段階から情報提供され、確認できる機会があります。

しかし問題なのは「修繕計画の内容自体が適正なのか」 しっかりした検討が抜け落ちているケースが非常に多い点です。(一見すると)きちんとした計画表による情報提供があったことで安心してしまい、その内容の妥当性の検証までできている購入検討者は決して多くない印象があります。

「修繕計画が適正か」はどう判断すればよいのか
もちろん、修繕計画がいかに適正かを、一概に判断することは簡単ではなく、マンションの特徴や個別要因などを考慮しながら、専門家の知見なども交えて総合的に検討する必要は出てきます。

ただし、たとえば以下のようなポイントは、比較的簡単に、誰でもチェックすることが可能です。

<危険な修繕計画の一例>

・長期修繕計画で、将来「積立額<修繕工事計画予算」となり、積立資金がショートする計画になっている

→借入や、一時拠出金の負担が必要になる可能性があります。

・長期修繕計画で、毎年の修繕積立金の歳入(積立スピード)が、現在の積立額よりも突然増えるタイミングがある

→毎月支払う修繕積立金が、突然大幅に値上がりする可能性があります。

「修繕計画」には、どんなリスクが隠れているのか
それでは、修繕計画を充分に検証しないことによって、どんなことが起きるのでしょうか。

それは、万一その修繕計画がずさんだった場合、

1.毎月払う管理費・修繕積立金が、計画表よりも高騰する可能性がある

2.修繕積立金では足りず、マンション所有者同士で、数十万~数百万単位の”一時負担金”を出し合う羽目になる可能性がある。

3.一時負担金を出せない所有者がいたり、所有者間で修繕方針がまとまらなかったりした場合、修繕もできずに建物の劣化は進み、資産価値が暴落してマンション全体が廃墟化する恐れもある。

といった展開に至るケースがあるのです。

暴論と感じられた方もいらっしゃるかもしれませんが、これは決して対岸の火事ではなく、日本全国、この危険予備軍や既に直面しているマンションが年々増加しています。 これを背景に、2021年には国土交通省がマンションの長期修繕計画や修繕積立金に関するガイドラインの見直しを行っています。

近年起こり始めている深刻な問題
実は、修繕計画の重要性が認知されるようになったのは、約30年前のことです。つまり、言い換えれば、それよりも前に建築されたマンションは、修繕計画といった概念もなく分譲されたケースも少なくなかったことが予想されます。

そして、現在それら築年数が経過してきたマンションは、所有者の高齢化も相まって、修繕計画の合意形成が非常に難しくなってきています。

所有者が福祉施設への入所で連絡が取りにくくなったり、認知症の進行で本人の判断ができなくなったり、所有者が亡くなったことで、マンションとは縁のなかった相続人が新たな所有者となるなど、日が経つほどにその問題解決が手をつけられなくなっていきます。

最たる例として、特にバブル期を中心に分譲された「リゾートマンション」と呼ばれるマンションでは、この傾向が顕著に現れ、修繕計画が進まないだけでなく修繕積立金の滞納等も常態化しています。こういった問題にこれ以上翻弄されたくないマンション所有者が売却処分に殺到しているために、著しい供給過多が生まれ、一見すると立派であっても「1円でも買い手が付かないマンション」も急増しています。

※リゾートマンションのイメージ写真。新築時には数千万円であった住戸が、今は1円でも売れないマンションすら生まれている。

「修繕計画」とどう向き合うべきか
繰り返しとなりますが、筆者はマンションの危険性だけを一方的に主張したいわけではありません。もちろん、マンションの中には、非常に緻密な修繕計画を作ったり、潤沢な修繕資金を貯めていたりするマンションもあり、その場合には長い目で見て安心して購入し、所有し続けることができるでしょう。

一方、万一その計画が甘い場合には、築年数に限らず、この記事で危惧する事態に直面する危険性が非常に高くなります。その意味で、もし購入検討しているマンションにその恐れがあると感じたときは、他の希望条件が全て揃っていた場合でも、購入を見送る英断も必要です。共同所有という性格上、一戸建と異なり、「修繕計画を、自分の力で何とかする」ことは非常に難しいためです。

そして、ここまでご覧頂いた方の中に、もしも「親が分譲マンションに住んでいる」場合には、そのマンションの修繕計画についても確認しておくことをお勧めします。

ある日突然、相続によって自分がそのマンションの所有者になる可能性があるのです。

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