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すでに決着はついている!「持家・賃貸論争」の嘘、賃貸住まいに追い打ちをかける「バッドニュース」
■「持家・賃貸論争」の嘘
持家購入と賃貸のどちらがいいかという論争は既に決着がついている。
住宅ローンと家賃との比較は一生を通じて同じ家に住むとして、その支払い期間で生涯支出が決まる。住宅ローンは35年で終わるが、社会に出てから亡くなるまでは60年以上になるので、家賃の方が60年÷35年=1・7倍のコストがかかる。
また、持家と家賃収入を得るための投資用物件では借り入れるローンの金利が2%近く違う。この金利差だけで35年ローンで4割ほど支払い総額が増える。それに加え、持家購入に対する優遇税制で物件価格の1割以上の税額差になる。住宅ローンの元本返済に税金がかからないのに、家賃収入に税金がかかるためにその手取り収入は3割ほど減額されることになる。これらの合計もさきほど同様に、持家と賃貸で1・7倍の支払い額の差になる。
この結果として、日本全国の持家率は85歳で85%を超え、都区部でさえ75%を超えている(2020年国勢調査)。戦後、国が一貫して持家取得促進政策をとり誰もが家を持てるようにしたのだ。
持家購入と賃貸の支出をほぼ同じと試算するのは物件の広告を請け負っている事業者の「大人の事情」に過ぎない。例えば、物件検索サイトが、持家の方が圧倒的に有利と言ってしまうと賃貸の事業者全員を敵に回すことになるので、そうは言えない話になる。だからこそ、比較する前提条件としての面積等を操作することになる。分譲マンション70㎡に対して、賃貸は50㎡などにし、比較期間も操作するのだ。
こうして「どっちもどっち」という比較結果を作るのだが、そもそもこんなに面積と期間を変えてしまえば、条件が違うのだから比較といえるものではない。
生涯住居費で賃貸が有利になることは天と地がひっくり返ってもないのだ。
■「住み替え」の場合
次に、住み替えのケースを考えよう。住み替えは持家だと売却価格がいくらになるかでコストが大きく変わってくる。相場変動がない時の都区部の分譲マンション価格の年間下落率は平均1・2%ほどだ。住宅ローンの金利0・8%なら、借りた元本は年間約2・5%減少する(35年ローン、元利均等返済)。こうして、物件価格と同額で住宅ローンを組むと、毎年1・3%(=2・5% -1・2%)の積み立てをしているのが実態となる。
わかりやすく説明するために、1億円で買ったマンションで考えよう。
10年後に12%下がって8800万円で売却することになったとする。住宅ローンの元本は既に2500万円(1億円×2・5%×10年)返しているので残りの7500万円を返済すると、手元に1300万円が残ることになる(8800万円-7500万円)。10年間毎年1・3%、130万円の積み立てをしていたことになるのだ。これを地道な貯金で実現するのはかなり難易度が高い。
実際はこれに住宅ローン控除の還付金が上乗せされる。この税制は1人当たり最大5000万円までのローン残高に0・7%、つまり年間35万円税金が還付される。夫婦ペアローンなら、最大年間70万円になる。先ほどの130万円との合計で年間200万円の資産形成をしていることになり、10年で2000万円となる。
その上、相場が値上がりしたら、その分も上乗せされる。アベノミクスが始まった2013年以降マンション価格は上り調子で高騰し、マンション価格は2倍以上に値上がりした。年平均の値上がり率は7%ほどなので、10年で7000万円の含み益になる。こうして先ほどの2000万円と加えて、9000万円になり、近いうちに資産は1億円を超えることになる。
値上がりの理由は、アベノミクスの金融緩和によって金利が下がり、不動産に余剰資金が流れているからで、この異次元の金融緩和は手仕舞いに多大な時間がかかると日銀は発表している。ということはまだ相場は上がることになる。
現在、持家取得者は住んでいながら資産形成ができる状況にあるが、賃貸居住者は「高くて買えない」と嘆いているという二極化を招いている。
今、1億円の家に住むなら、家賃は月25万円ほどになる。掛け捨てになる家賃を払った後の手元資金で貯金をするのは難しい。一方で、同額を住宅ローンの返済にあてて、もし資産価値が落ちなかったら、売却時に1億円で売れる。そうすると、売却時に既に返済した元本が全額返って来るので、家賃に相当する年間300万円を積み立てしていたことになる。
つまり、家賃は掛け捨てになり、住宅ローンは積み立てになるということだ。
賃貸派は月25万円・年間300万円を10年支払うと、3000万円の現金を失うことになる。これに対して、持家派は購入物件が値下がりしなかったら、売却時に支払った住宅ローン3000万円が全額戻って来る。現状は物件価格が年率7%上昇しているので、1億円の物件は10年で7000万円値上がりしている。
この時点で、賃貸派と持家派の資産格差は1億円になる。もし、年率2%で物件価格が下落したとしたら、10年で2000万円を失ったことになるが、それでも賃貸派よりも1000万円有利だったことになるということだ。
■賃貸住まいにバッドニュース
このように、持家有利の確率は非常に高いが、逆のケースに配慮する必要がある。それは資産の下落スピードが早いことだ。
先ほどの住宅ローンの元本の減り方は年間2・5%だった。Aさんの購入物件の年間下落率が1%なら、毎年1・5%の利益を生むが、Bさんの購入物件の年間下落率が3%なら、毎年0・5%の損失が発生する。損が出ていると、その損失を現金で補わないと引っ越すことができなくなる。
だからこそ、持家を買う時には、その資産性がどの程度あるかを知る必要があるのだ。
これに追い打ちをかけるように、賃貸住まいにバッドニュースがある。都区部の家賃は2016年以降上昇し始め、2025年には年率平均2%ほど値上がりしている。新築に4年住んで引っ越そうと思ったら、同じ家の家賃が築4年経過しているのに8%高くなっているのだ。
家賃は需給バランスで決まるので、単純に稼働率が高いから値上げしている結果だ。こうなるのも持家価格が高騰しているために、買える人が少なくなり、賃貸に住み続けている世帯が増えているからに他ならない。
稼働率が上昇し続けているがゆえに今後は現状以上のペースで家賃が上がっていくと想定されるので、5年後には今より1割の値上がりでは済まない可能性が高くなってきた。今20万円の家賃の部屋が、築年数が5年も古くなって23〜;24万円に値上げされているのを許容できるだろうか?
家賃の掛け捨て地獄から抜けるには、どんなに高くても持家での積み立ての仕組みに乗り換えるしかない



